特集 眼科検査法を検証する
Ⅴ.網膜・硝子体疾患
眼底検査と前置レンズ—2)レーザー細隙灯顕微鏡
桐生 純一
1
,
小椋 祐一郎
2
1京都大学大学院視覚病態学教室
2名古屋市立大学眼科学教室
pp.170-172
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906100
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検査の目的
眼底後極部における網膜とその硝子体境界面の観察は,黄斑部に起こるさまざまな病態を把握するうえで重要である。とくに最近では黄斑円孔,黄斑浮腫,新生血管黄斑症などの黄斑部への硝子体手術が行われるようになり,後部硝子体と黄斑部網膜の関係を詳細に観察することが要求されつつある。黄斑部疾患の病態の把握には細隙灯顕微鏡による観察が必須であるが,観察に白色光を用いているために,とくにその赤色光成分が網膜色素上皮や脈絡膜からの強い散乱を起こして解像力を低下させ,詳細な観察が困難となる。また細隙光の幅を小さくして光学的切断面の観察を試みても光強度が不十分で難しい。レーザー細隙灯顕微鏡はヘリウムネオンレーザーの特性を応用した,レーザービームによるスリット光による観察系をもち,網膜硝子体境界面や網膜の断層構造の観察と撮影を可能としている。対象は黄斑円孔,黄斑浮腫などの後部硝子体膜に関連した黄斑疾患である。
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