書評
細隙灯顕微鏡アトラス
西田 輝夫
1
1山口大学大学院医学系研究科眼科学分野
pp.1189
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102334
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
細隙灯顕微鏡は,私たち眼科医にとって最も基本的に用いる検査機器です。19世紀には原型が作られています。角膜や前眼部に細隙を通して照射し,反射してきた可視光線を観察するものですが,手に入った画像を頭のなかで3次元的に再構築することで前眼部の画像診断を行うことができます。近年,さまざまな医学・医療の世界で話題になっている画像診断学では,不可視のエネルギー(X線,超音波,NMRなど)を生体に加えてその変化を観察するもので可視化が必須となり,受容器から手に入った情報は高速のコンピュータで処理して初めて私たち医師が観察できる画像が得られます。すべての医学・医療の分野を見渡しても,細隙灯顕微鏡は最も古くから実用化され,今日に至るまで用いられている画像診断機器であるといえましょう。
細隙灯顕微鏡はスイッチを入れれば何らかの像が見えるものですから,一見特別の訓練を必要としないと思われがちです。しかし,細隙灯顕微鏡の光学系と光源の原理や発展の歴史をよく理解し,倍率のみならずフィルターの使い方,反帰光線の活用や補助レンズの利用などいろいろな技法を駆使することで,角膜や前眼部だけではなく隅角,硝子体や網膜の状態も3次元的に詳細に観察できます。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.