特集 オキュラーサーフェスToday
Ⅰ 難治性角膜疾患と新しい治療法
糖尿病角膜症
細谷 比左志
1
1大阪府立病院眼科
pp.45-48
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905596
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糖尿病患者の角膜に何らかの異常がみられるということは,すでに前世紀から報告があったが,臨床的に問題にされることは従来少なかった。しかし,1970年代後半ごろより増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術が盛んに行われ,それに伴い術後の難治性角膜上皮障害1)が報告されるようになり,注目されるようになった。また,重症の糖尿病患者では,硝子体手術後ばかりではなく,白内障術後や光凝固術後に点状表層角膜症を生じ,なかなか治癒しないといったことも日常臨床でよく経験する。こうした例では,たいてい角膜知覚は低下しており,角膜知覚低下がこうした病態に深く関与していることを推測させる。また糖尿病患者では,角膜上皮だけでなく,内皮細胞にも形態および機能の異常がみられることが指摘されている。本稿では,こうした糖尿病患者にみられる種々の角膜の異常,重症のものから軽症のもの,あるいは前臨床的変化も含めて概観し,その病態と治療法について述べる。
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