Siesta
白内障手術の教育
常岡 寛
pp.98
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901894
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最近の若い先生はすぐに白内障の手術がうまくなる。今の手術方法に比べればかなり手技が単純であったにもかかわらず,われわれが白内障の手術を満足にできるようになるためには相当な時間を要した。超音波白内障手術(Phaco手術)を初めて見たときは神業だと思った。見様見真似で何度も挑戦してみたが,うまくできなかった。何年間もかかって,たくさんの苦い合併症を経験して,最近やっと一人前のPhaco手術を行うことができるようになった。この難しい手術を,若い先生たちはいとも簡単に,数回教えられただけで習得してしまう。
私の大学でも,7〜8年前はPhaco手術を少し取り入れているという術者が3〜4人しかいなかった。ところが,現在では30人以上の術者がこの術式を第1選択としており,大学で行われている全白内障手術の80%以上がPhaco手術となっている。これは手術顕微鏡用ビデオの普及により,手術教育のシステムが昔と全く変化しているためだと思われる。実際に手術の助手をしなくても,手術を観賞することができる。学会で見るビデオも素晴らしいものばかりである。上質の手術をビデオで多数見ることにより自分の手術の技能を向上させることができる。
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