Siesta
昔と今と
高良 由紀子
pp.59
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901869
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ピーポ,ピーポ,毎週1回,この音が無限に鳴り響く時がある。なにを隠そう眼軸長測定のAモードの鳴り響く音である。たまたま入局した大学が,古くから眼内レンズを導入していたので,水振式Aモードの時から眼軸長測定は大切な行事として週1回行われていた。当時は,眼軸長測定が大変難しいと信じられていて,一人平均30分はかかった。だから,手術件数も少なく,いいところ1日5〜6人しか測定できなかった。「両眼をあけて!天井をじっと見て!」この声が聞こえる時は,そ一っと外来を遠回りにして,患者および測定医師を刺激しないようにしたものである。
まず,患者に横になってもらう。ベノキシールを点眼して,キャップを眼瞼にはめて,そのなかに水を満たし,眼位を確認する。そして,おもむろに,尊敬する先輩医師は測定プローブを手にとり,測定開始となる。われわれは,入局した時,教援,助教援の次に一番偉い先生は,この儀式に取り組んでいる先生だと信じていた(実際大変なのである)。一年生医師は,横についてカルテの整理や,患者の介助にいそしんだものである。
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