あいまにカプチーノ
授業風景―今と昔
坂本 穆彦
1
1大森赤十字病院
pp.730
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103080
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もう30年も前のことになる.小学生の長女の授業参観でのことである.このとき見聞きした中で今でも忘れられないことがある.ひとつは,教室に教壇がなかったこと.もうひとつは,担任の先生の口のきき方である.生徒に対して友達口調で話していた.自分の小学生だった頃の体験とは大きなギャップであった.昔は良かった……と言うつもりもないが,この違和感は私の中ではいまだに釈然としないかたちで残っている.
ところで,私は大学時代を学園闘争期におくった.病理医・病理学研究者としてのキャリアの前半は民間の財団の研究所に籍をおいていたため,教育現場とは無縁であった.しかし40代前半のあるとき,国立大学に招聘され,以後は教育を主務とする立場にたった.その頃はどこのキャンパスでも学園闘争の痕跡はすべて風化しており,大学受験最難関のこの学部であっても,社会に対する意識はこの程度かと思われるような学生を相手にすることになった.
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