連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・47
角膜電気分解
木村 千佳子
pp.1595-1597
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901394
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はじめに
角膜電気分解法は顆粒状角膜変性症(cornealgranular dystrophy, Groenow Type Ⅰ)に対して,その混濁を消失あるいは淡くする目的で用いられる治療方法1〜3)の1つである。その原理としては,顆粒状角膜変性症の白濁の本体であるフォスファチジールコリン(燐脂質)4,5)が有する不安定なO—結合部分(図1,2)が電気分解により壊されて分解し,その結果として白濁が消失ないし減少するものと推定される3,6)。顆粒状角膜変性症の治療は,一般に視力回復を目的とする角膜全層移植術,あるいは表層移植術が行われ,角膜擦過法,表層切除術,角膜電気分解法が試みられているが,そのいずれの方法7,8)においても再発は必至である。
筆者があえて,ここで角膜電気分解法を紹介したいのは,1)手術手技が簡便で,手術時間が短い,2)視力改善が短期間に認められる,3)手術効果が少なくとも1年以上,長いもので4年間持続する,4)繰り返し行うことが可能である,5)安全で合併症を起こさない,などの利点3,6)があり,計画的外来手術として,角膜移植術を施行する前,あるいは施行後の再発例に対し,積極的に用いられるべき方法と考えるからである。
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