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特集 第45回日本臨床眼科学会講演集(6)1991年10月 広島
学術展示
視力障害により発見されたリンパ球性下垂体炎の1例
A case of lymphocytic adenohypophysitis detected by visual disturbance
長坂 誠
1
,
白井 正一郎
1
,
片野 広之
2
,
永井 肇
2
Makoto Nagasaka
1
,
Shoichiro Shirai
1
,
Hiroyuki Katano
2
,
Hajime Nagai
2
1名古屋市立大学医学部眼科学教室
2名古屋市立大学医学部脳神経外科学教室
pp.1170-1171
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901272
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- Abstract 文献概要
緒言 リンパ球性下垂体炎は妊娠を契機に発症することが多いとされ,自己免疫疾患との関連が考えられているまれな疾患である。1962年にGoudieら1)が最初の報告をして以来,本邦での6例を含めて20数例の報告2)があるが,筆者らの調べた範囲内では眼科領域からの報告はみられない。臨床的には視力や視野障害,汎下垂体機能低下があり,下垂体腺腫と類似の症状を示すが,確定診断には組織学的検索が必要である。今回,視力低下と視野異常および全身症状から下垂体腺腫が疑われ,下垂体腫瘤摘出術を行ったところ,組織学的にリンパ球性下垂体炎と診断された1例を経験したので報告する。
症例 患者は26歳の女性で,既往歴として1982年から全身性エリテマトーデス(SLE)のため,副腎皮質ホルモンの投与を受けている。また,1987年頃からうつ状態が出現し,精神科で治療中である。家族歴に特記することはない。現病歴は,SLEおよび副腎皮質ホルモンの眼合併症の精査のため,1989年9月20日名古屋市立大学病院眼科を紹介された。頭痛・嘔気,視力障害などは自覚していなかった。
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