特集 内分泌疾患を診きわめる
下垂体疾患
ホルモン欠乏症
【下垂体前葉機能低下症】
リンパ球性下垂体炎
片上 秀喜
1
1甲南加古川病院内科
pp.2122-2128
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224499
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ポイント
●リンパ球性下垂体炎は病理学的診断名で,原発性の細胞浸潤の生じる部位により,前葉炎,漏斗下垂体神経葉炎(後葉炎),ならびに汎下垂体炎に分類定義される.
●典型的には前葉炎は周産期の女性に好発する.最近は,免疫チェックポイント阻害薬の使用後に前葉炎(IRH)が高頻度で発症することも知られており,使用前より下垂体ホルモンや甲状腺ホルモンを予め測定しておく.
●経過中に,下垂体─視床下部の腫大,前葉機能低下症や中枢性尿崩症をきたし,後年,ACTH単独欠損症,特発性中枢性尿崩症やempty sellaに移行することもある.
●治療法は確立されていないが,症状が強い際には薬理量のステロイドを投与する.改善しない場合や急速な腫瘤増大をきたす場合には,生検をかねて下垂体手術を行う.
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