Letter to editor
「GM1—gangliosidosisの1例」について
山岸 直矢
1,2
1山岸眼科医院
2天理病院眼科
pp.161
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901008
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「臨床眼科」45巻12号掲載の島川真知子氏「GM1-gangliosidosisの1例」を興味深く読みましたが,若干の補足が必要と思われます。この疾患は酵素学的にβ-galactosidaseの欠損のため網膜を含む神経組織内にGM1-gangliosideの蓄積を来たし眼底にはcherry red spotがみられます。同じ酵素がgan-gliosideの分解以外にoligosaccharideやglyco-proteinなどの分解に関与していると理解されています。そのためこの酵素の欠損により GM1-gan-glioside以外にこれらの物質が内臓に蓄積し,hepa-tosplenomegalyやHurler病様の骨所見また眼組織では角膜混濁や結膜血管の異常を示すと考えられています。
またこの疾患に関してはすでに1980年に日眼会誌84巻1号に山岸直矢・永田誠1)で「GM1 Gang-1iosidosis type 1の眼所見および結膜生検について」で,生後7か月の男児の症例を示し,cherry red spotの観察,β-galactosidase活性の低下を結膜生検の電顕的所見とともに報告しております。したがって島川氏論文中にこの論文が引用されておりましたら,より読者の参考になったのではないかと思われます。
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