文庫の窓から
目薬—精錡水と明治水
中泉 行信
,
中泉 行史
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.208-209
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901019
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明治の初め頃,売薬の目薬“精錡水”が時代の脚光をあびて,爆発的に世上に販売されたという話はあまりにも有名である。
その目薬というのは,ヘボン式ローマ字で有名なヘボン(JCHepburn,1815〜1911)博士の処方により,岸田吟香(岡山の人,本名,銀次,1833〜1905)氏が調製した目薬で,「ヘボン処方集」(明治3年発行)によれば,Zink 1:水450の割合で拵えた(今日のチンク水,硫酸亜鉛水)もので,“精錡水”と名付けられたといわれる。精錡水の精錡はZinkの中国語の当字であって,“シンキ”と読むのが本当であるとのことである,と。(根本曽代子氏,木村泰三氏)
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