特集 小児眼科診療マニュアル—私はこうしている
診療の実際—ポイントとコツ
白内障
羅 錦營
1
1静岡県立こども病院眼科
pp.1608-1610
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900390
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先天白内障は小児眼科領域では,最も難しい疾患の一つである。白内障は水晶体のみの異常から他の眼の異常,全身異常を随伴するものまである。片眼性か両眼性のほか,水晶体の混濁の部位,程度,形状により,視機能にいろいろな影響をもたらす。一方,臨床上重要なことは,白内障による視性刺激遮断と視機能回復のcritical periodの問題であるが,これらの点は未だに解決されていない。また,先天白内障の治療において,手術手技の進歩とともに,手術時期の決定および術後の屈折矯正,弱視の治療が手術自体よりも大事であることが分かるようになった。
先天白内障の形態はいろいろあるが水晶体の発生時期から,ある程度障害の時期を推定することができる。表1にある形態の頻度として,層間白内障が最も多く,核白内障,全白内障,極白内障の順である。眼合併異常としては,小眼球,虹彩低形成,PHPV,視神経低形成,網膜変性症,眼振,斜視等がある。これらの合併があった場合は,弱視は必発である。視力予後については表2に示した通りである。
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