連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・19
周辺虹彩切除
荻野 誠周
1
1愛知医科大
pp.1061-1063
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900263
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周辺虹彩切除術の重要性
レーザー虹彩切開術により瞳孔ブロック緑内障の原因—瞳孔ブロックの解除が容易になった。とりわけ急性発作眼の僚眼の予防手術は極めて安全性が高くなった。しかしわたしたちの経験では急性発作眼での眼圧コントロール率は周辺虹彩切除の方がレーザー虹彩切開に勝っている。前者では30眼のうち無点眼で30%,点眼で23%,合わせて53%がコントロールされていたが,後者では19眼のうちそれぞれ5%,26%,合わせて32%であった。慢性閉塞隅角緑内障の型でも周辺虹彩切除92眼ではそれぞれ37%,43%,合わせて80%であるのに,レーザー虹彩切開51眼ではそれぞれ25%,48%,合わせて73%であって,周辺虹彩切除はより確実であると考えられる。レーザー虹彩切開術は切開孔が小さいので,水晶体の前方移動ないしは膨隆が大きい場合には切開孔でのブロックが生じる可能性があるし,また糖尿病眼や水晶体偽落屑症候群のような場合には切開孔が閉じてしまうこともある。周辺虹彩切除術は忘れてはならない重要な術式である。
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