今月の表紙
虹彩腫瘍
水澤 剛
1
,
坂本 泰二
2
1東京医科大学病院
2鹿児島大学
pp.582
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213978
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- 文献概要
症例は70歳台,男性。飛蚊症を自覚し,糖尿病網膜症の定期健診で近医を受診したところ,右眼底耳側に隆起病変を認め,他院を紹介され受診した。その際,眼底病変に加え,虹彩に赤色隆起性病変を認め,精査目的で当科へ紹介され受診となった。既往歴は,腎細胞癌に対してニボルマブを使用した化学療法中であり,他に上部消化管出血,高血圧,糖尿病,心疾患の加療中である。両眼ともに水晶体再建術が施行されている。
当院初診時の矯正視力は右1.2,左1.2,眼圧は右17mmHg,左16mmHgであった。前眼部所見は,右眼の虹彩7時方向に白色で若干赤みを帯びた隆起性病変を認め,眼底所見は,下耳側1/2象限にわたる隆起性病変が観察された。当院初診時より3か月は眼病変に変化はなかったが,その後,骨転移が発覚し,初診から半年後に再受診となった。写真はそのときの前眼部写真で,虹彩の隆起病変は増大し,さらに赤みが強くなっている。撮影にはライト製作所のRS-1000を用い,撮影倍率は16倍で撮影している。疾患の凹凸が再現できるように幅広のスリットを60°から照射して陰影を出したのち,赤みが忠実に再現できるように光量を設定して撮影した。
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