特集 美しさを追求する眼形成—眼瞼手術の基本手技+仕上がりを高めるコツ
企画にあたって
坂本 泰二
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1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科感覚器病学眼科学
pp.1699
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212066
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医学における治療の目的は,疾病や加齢により喪失した機能を修復させたり,新たな機能を獲得させたりすることである。そのために,長年にわたり多くの努力がなされ,治療技術は大幅に進歩してきた。それとともに患者側や社会からの要求水準も大幅に高まった。わかりやすい例でいえば,白内障手術治療の要求水準は,30年前には矯正視力を回復すれば良いレベルであったが,今やそれではとても患者側の要求を満たすことはできない。医師のたゆまぬ努力は治療成績を向上させただけではなく,社会からの要求水準も高めたのである。これは眼形成の分野でも同様であり,今日の眼形成手術においては,醜さを除いたり,機能を回復させたりするだけでは不十分で,より美しく仕上げる必要がある。
眼形成手術が特に他手術と異なるところは,術者の(職人的)技量に大幅に依存するところであろう。白内障手術であれば手術手技はマニュアル化されており,修練を積めば容易に成功を得ることができる。しかし,眼形成手術分野では,それほどマニュアル化はなされておらず,手術の方法や結果は術者に依存することが多い。この理由について,眼形成手術は症例ごとに特徴が異なり,マニュアル化が難しいためと説明されている。また,眼形成手術は美しさを追求するため,「芸術」的要素が強いからと説明する向きもある。確かに,美という概念自体が個別的で内包的意味が異なるものである。普遍的な基準がないことは,マニュアル化を大いに妨げているであろう。
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