やさしい目で きびしい目で・192
男性と女性のモチベーションの違いを理解して最大限に支援したい
大野 京子
1
1東京医科歯科大学
pp.1799
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211655
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私が眼科医を志した理由は,ほかの多くの先生方と同様に,「眼底の美しさに魅せられたから」である。特に眼底のなかでも,直視下にみる網膜血管の美しさ,に感動した。最初の原著論文は,「原発性マクログロブリン血症における網膜症の1例」であり,本症でみられるソーセージ状の静脈拡張のくびれの部分が,細静脈が静脈本幹に流入する部位に一致することを蛍光眼底造影で見いだしたものである。本当に小さな発見であるが,この論文が自分の原点だと思う。以来,ICG蛍光眼底造影で脈絡膜血管が見える美しさ,OCTで見える強膜内血管など,血管が見える感動はますます強くなり,今日まで続いている。研究に対する自分のポリシーは,「医学部の研究は患者さんを救うためにある。そのためには1つでもいい,ちっぽけなことでもいい,真実を明らかにすることだ」ということであり,教室のみんなにこのことをいつも伝えている。そして,「定説を鵜呑みにする心」からは真実は生まれない。
このような自分自身の経験や,多数の女性医局員を見てきた経験で,もしかしたら男性と女性の仕事に対するモチベーションは違うのではないかと感じている。
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