今月の表紙
低眼圧黄斑症のレトロモードイメージング
岡本 明子
1
,
中倉 俊祐
1
,
鈴木 康之
2
1三栄会ツカザキ病院
2東海大学
pp.780
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211357
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症例は56歳,男性。進行した開放隅角緑内障(右眼)に対しマイトマイシンC併用線維柱帯切除術を行った。術後2週間目に眼圧が4mmHgとなり,検眼鏡で黄斑部の皺襞と乳頭の発赤,黄斑浮腫ならびに網膜血管の蛇行を認め,低眼圧黄斑症と診断した。
F-10走査レーザー検眼鏡(NIDEK社)を使用し,790nmの赤外光を用いたレトロモードで黄斑部を撮影した。レトロモードは眼底からの散乱光を横に位置した穴から収束することにより深部網膜の擬似的な3D様画像が1枚の平面画像で得られるイメージングである。これまでドルーゼン,糖尿病黄斑浮腫,網膜分離症の診断にも用いられている。写真の皺襞は網膜色素上皮を示しており,3D-OCT(TOPCON社)でも網膜皺襞を確認できた。診断後2週間(術後4週間)で眼圧は11mmHgと回復した。眼圧が回復するのに伴い,レトロモード写真における皺襞の減少経過を3D-OCTでも追うことができた。
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