今月の表紙
低眼圧黄斑症
薄井 紀夫
1
,
鈴木 健司
1
,
天野 史郎
2
1総合新川橋病院
2東京大学
pp.239
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104105
- 有料閲覧
- 文献概要
56歳男性。視力は右0.06(0.5×-5.00D()cyl-2.50D 180°),左0.01(矯正不能),眼圧は右19mmHg,左18mmHgであった。両眼とも白内障を認め,左眼水晶体は亜脱臼し,前房内に硝子体脱出を認めた。左眼に対して,水晶体囊内摘出および前部硝子体切除,眼内レンズ縫着術を施行した。術後眼圧は5~7mmHgと低めを推移し,2週間目には黄斑部に皺襞を認め,低眼圧黄斑症と診断した。この時点での左眼視力は0.03(0.1×+6.50D()cyl-2.00D 180°)であった。写真には脈絡膜剝離もみられる。その後,自然経過で徐々に眼圧は上昇し始め,術後1か月目には左眼の眼圧は14mmHg,視力は0.1(0.3×+1.50D()cyl-4.00D 100°)となった。脈絡膜剝離も消失し,黄斑皺襞もわずかになった。術後3か月で左眼視力は0.3(1.0×+1.50D()cyl-2.25D 100°)に回復した。
撮影にはトプコン社製のTRC-50IXを使用した。撮影で最も注意したことは各部位のフォーカス・色調をきちんと合わせること,周辺部まで撮影することの2点である。毎日の業務の中で色調にまで気を配ることは大変であるが,今後も努力していきたい。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.