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糖尿病性網膜症における硝子体手術不成功後の進行性の前部新生血管に対するシリコンオイルの効果
桂 弘
1,2
1慶大眼科
2オークランド大学
pp.1269
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210922
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増殖性糖尿病性網膜症に対して行った硝子体手術後の網膜剥離または混濁に合併して,虹彩新生血管または前部硝子体線維性血管増殖を生じた18眼に対する再手術として硝子体手術とシリコンオイル注入を行った。前部新生血管は83%において安定または改善し,コントロール不能の眼圧上昇をきたした症例はなかった。網膜復位は56%に得られ,視力が0.05以上に改善したのは28%であった。網膜非復位の主な原因は後部の血管性または無血管性の再増殖であり,また,網膜復位にもかかわらず術後視力が不良なのは広範囲の網膜血管虚血のためと思われた。
症例数が少なく,また,光凝固などの他の術式も行っているので,前部新生血管の安定または改善が主にシリコンオイルによるものか否かは確実ではないが,一つの重要な因子であると考えられた。また,網膜復位や視力改善についての最終的に不良な結果は,基盤にある増殖性虚血性変化によるものであり,シリコンオイルの効果には限界があると考えられた。
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