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Nd: YAGレーザーによる後発白内障切開後に生じた両眼の黄斑円孔,他
大木 隆太郎
1
1埼玉医科大学
pp.226-227
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210633
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表題のとうり非常に不幸で稀な症例の報告である。症例は68歳男性。両眼白内障の手術(嚢外摘出及びIOL移植)後,良好な視力を得ていたが,約2年間の経過で後嚢の混濁によって視力低下が出現。両眼ともYAGレーザーを用いた後発白内障切開術を受け,再び10の視力を得たが3〜4週後に両眼とも黄斑円孔が生じ,急激な視力低下をきたしている。白内障手術前の屈折は,右−6.5 D左−2.75D。レーザーの切開は4×4mm,0.9〜1.5mj,12〜35 pulses。照射後強い硝子体のhernia—tionは認められなかったが,著者は切開の前に右眼黄斑部に硝子体の索状の付着を観察している。著者はYAGレーザーの術前に,硝子体の検査を行うこと,片眼に黄斑円孔などの合併症があった例では完全な硝子体剥離を待つこと,さらに臨床的に後発白内障切開が必要な症例でも網膜の牽引をとるため硝子体手術も考慮すべきであると述べている。簡便なYAGレーザーによる後発白内障切開の安易な施行に対し警鐘を鳴らす報告として,短い文献ながらここにとりあげてみた。
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