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嚢胞状黄斑部浮腫,他
岡野 正
1
1群馬大
pp.538-539
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210377
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Perkovich BT, Meyers SM : Systemic factors affecting diabetic macular edema. Am J Ophth-almol 105 : 211-212, 1988
人工透析で嚢胞状黄斑部浮腫が速やかに軽減し,この効果が腎移植後に安定して維持されたという報告である.症例は,糖尿病に16年罹病した48歳の男子で,両眼とも汎網膜光凝固をうけ,右眼には既に硝子体手術がしてあるが,黄斑円孔があった.高血圧200/116mmHgとなり,左眼に黄斑浮腫が生じ,左矯正視力が0.8から0.5に低下した.人工透析1カ月後には,血圧は160/70に改善し,それにともなって黄斑浮腫は消褪し,視力は0.8に回復した.その後腎移植をうけ,高血圧などの治療薬剤は不要となり,黄斑浮腫は消褪したままであった.以上は,黄斑浮腫に関する高血圧や腎移植についての従来の報告と同じ結果であった.糖尿病患者の黄斑部の浮腫や嚢胞形成に,高血圧や,黄斑への血液循環量過剰が関係しているらしい.したがって,血圧の調整や血行循環の積極的な治療が敏速かつ適切なら,黄斑部に対する光凝固が不要となる可能性があるという.但し,本報では,糖尿病性網膜症に生じた嚢胞性黄斑浮腫と血管攣縮性黄斑症とを,はっきりさせていないきらいがある.
なお,糖尿病性黄斑症に対して格子状黄斑部光凝固が必要か否かは,従来の関連した幾つかの報告も含め,さらに最近報告された小椋(京大眼科)らの高圧酸素療法による成果なども併せ,慎重に検討されるべきであろう.
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