連載 眼の組織・病理アトラス・19
軟性白斑(綿花様白斑)
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.462-463
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210360
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眼底病変において,網膜の1部が混濁し,検眼鏡的に白色または黄白色の病巣として認められるものは,病態のいかんにかかわらず,白斑または滲出斑と呼ばれる.網膜の白斑は軟性白斑softexudatesと硬性白斑hard exudatesに区別される.
軟性白斑は毛羽だった灰白色を呈し,境界不鮮明な病巣として観察され,綿花様白斑cotton-wool patchesとも呼ぶ.高血圧性網膜症,糖尿病性網膜症,網膜静脈閉塞症,白血病,うっ血乳頭,全身性紅斑狼瘡(SLE)など,種々の疾患で見られる.網膜内層とくに神経線維層の病変で,網膜神経線維の瘤状腫大,フィブリンの集塊,白血球の集塊などが存在する場合に軟性白斑として観察される.軟性白斑の境界が不鮮明であるのは,網膜の神経線維が網膜面に平行に走っているためである.
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