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特集 第40回日本臨床眼科学会講演集 (5)
学術展示
単純型糖尿病性網膜症の血液-網膜柵に対する抗Ca⧺性循環機能改善剤の効果
Effects of peroral calcium antagonist on the blood-retinal barrier in simple diabetic retinopathy
葛西 款
1
,
玉井 信
1
Makoto Kasai
1
,
Makoto Tamai
1
1東北大学医学部眼科
pp.998-999
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210151
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緒言 糖尿病性網膜症では,網膜血管内皮および網膜色素上皮に存在する内および外血液-網膜柵の異常が存在することは,Na-fluorescein (Na-F)を用いた螢光眼底撮影法や,硝子体螢光測定法vitreous fluoro-photometry (VFP)で知られている.我々は各種の糖尿病性網膜症において,Na-F静注後その励起光刺激で得られる網膜電図(F-ERG)の増強の程度と,VFPによるNa-Fの漏出量が相関することを先に報告した1).今回,単純型糖尿病性網膜症を有する患者に,脳血管拡張作用を持つことで知られている,抗Ca⧺性循環機能改善剤である塩酸ニカルジピンを用服投与し,血液網膜柵のNa-Fの透過性に対する効果を,F-ERGとVFPを用いて観察し,投与しない群と比較した.その結果6カ月の投与期間で,Na-Fの透過性はこの薬剤内服により有意に減少しており,糖尿病性網膜症に対する治療効果の存在を示唆するものであった.
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