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Summers LJ et al : Structural variation in mammalian y-crystallines based on computer graphics analyses of human, rat and calf sequences. 1. Core packing and surface pro-perties. Exp Eye Res 43 : 77-92, 1986
γ-クリスタリン・ファミリーのうち,牛のγIIのみがX線回析分析法によって,その3次元構造が判明している.本報告では,その構造を参考にして,アミノ酸配列のわかったラットの6種類(γ1-1,γ1-2,γ2-1,γ2-2,γ3-1,γ4-1)およびヒトの2種類(γ1-2,γ2-1)のγ-クリスタリンの3次元構造がコンピーター・グラフィクス法によって計算され,比較がなされた.
γ-クリスタリンは四つの逆平行なβ-sheetからなる四つのGreek keyモチーフ(二重に重なったヘアーピン構造)によって構成されており,二つのよく以たN-末端ドメイン(モチーフ1と2で構成)とC-末端ドメイン(モチーフ3と4で構成)にわけられる.両ドメインは180°回転した対称性でconnectingペプチドでつながっている.モチーフ2と4は溶媒と接しない内側にくる.溶媒と接するモチーフ1と3のうちモチーフ3がどのモチーフよりも,もっとも変化にとんだアミノ酸配列を持っている.しかし,遺伝子レベルが同一であるラットγ1-2,ヒトγ1-2および牛γIIの間ではモチーフ3についてもアミノ酸配列は比較的保存されている.γ-クリスタリン・ファミリー間でクリスタリン内部(core)のパッキング状態,表面の荷電状態および疎水性に種々変化が見られる.これらの差がγ-クリスタリンの可溶性や屈折率に反映するものと推定されている.
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