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特集 第39回日本臨床眼科学会講演集 (1)
学術展示
Idiopathic corneal endotheliopathyの1症例
A case of idiopathic corneal endotheliopathy
大橋 裕一
1
,
真野 富也
2
,
木下 茂
3
,
切通 彰
3
,
大路 正人
3
,
山本 良
4
Yuichi Ohashi
1
,
Tomiya Mano
2
,
Shigeru Kinoshita
3
,
Akira Kiritoshi
3
,
Masato Ohji
3
,
Ryo Yamamoto
4
1関西労災病院
2大阪大学
3大阪労災病院
4住友病院
pp.160-161
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209623
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- Abstract 文献概要
緒言 一般にヒトの角膜内皮細胞は傷害を受けてその数を減じてももはや分裂することはほとんどなく,もしその数が一定数よりも少なくなると角膜は浮腫に陥る.こうした角膜内皮細胞への傷害は内眼手術,角膜内皮変性症,外傷,角膜ヘルペスなど,種々の原因によって起こる.近年,角膜内皮を場とする炎症が「角膜内皮炎」という概念でとらえ始められており,いくつかの報告も見られる1〜3).今回,我々は原因不明の進行性の角膜内皮傷害により水疱性角膜症を呈するに至った特異な1症例を経験した.
症例 29歳男性.1984年8月6日初診.3年前に両眼の充血があり近医を受診したところ虹彩炎と診断され,その後2,3回再発したがステロイドの点眼によりそのつど軽快していた.しかしながら,3カ月前の発作では虹彩炎に加えて角膜浮腫が両眼に出現したため某病院眼科に紹介された.角膜ヘルペスとの診断でステロイドを主体とする治療を受けたが軽快しなかった.初診時の視力は右0.2(0.4),左0.3(1.0).瞳孔反応では右眼のMarcus-Gunn現象は陽性であったが,眼球運動には異常を認めなかった.前眼部の観察では右眼に蝶形の大きな角膜浮腫病巣と(図1)それに伴った角膜後面沈着物および(図2矢印)主病巣の周囲に衛星病巣と思われる所見を認めた.左眼にも扇形の同様な角膜浮腫病巣が認められた(図3).前房には炎症所見をほとんど認めなかった.
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