Japanese
English
連載 眼科図譜・339
脈絡膜骨腫の1例—7年間の経過観察
A case of osseous choristoma.: The 7 years' observation
仁平 美果
1
,
上野 聡樹
1
,
松村 美代
1
,
塚原 勇
1
Mika Nihira
1
,
Satoki Ueno
1
,
Miyo Matsumura
1
,
Isamu Tsukahara
1
1京都大学医学部眼科学教室
pp.82-83
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209601
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- Abstract 文献概要
緒言 脈絡膜骨腫についての報告は1978年のGass1)以来すでに40数例を数えるが,その長期的経過について検討した資料は皆無に近い.本症例は,脈絡膜骨腫と診断して報告した症例2)を,その後7年余の長期間にわたって,その経過観察を行ったものである.ここに経過所見を供覧する.
症例 16歳,女子.左眼の視力低下を主訴として1977年5月2日受診した.初診時視力は,右眼1.5(n.c.),左眼0.7(1,0×0.75D)で,眼圧,前眼部,中間透光体には異常を認めなかった.左眼眼底には視神経乳頭耳下側網膜下に,直径約4乳頭径大のごくわずかに隆起した腫瘤の存在を認めた.腫瘤はなめらかな卵円形でその境界は鮮明であり,中央部では黄白色,辺縁部では燈赤色の色調を呈し,さらに中央部に軽度の色素沈着が認められた.また,病変部および隣接する黄斑部の中央に軽度の続発性網膜剥離が観察された(図1).螢光眼底造影において造影初期より腫瘍の中央部に顆粒状過螢光,さらに後期にかけて病巣部全体に一致したびまん性過螢光という脈絡膜骨腫に特徴的な所見が認められた(本文図1頁183,図2度184).頭部CTにて左眼後極部付近に骨組織とほぼ同密度の扁平な陰影を認め(本文図3頁184),我々はこの症例を脈絡膜骨腫と診断した2).
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