第89回日本眼科学会総会印象記 1985年5月16〜18日於京都市
—特別講演Ⅰ—網膜・硝子体の発育期における特殊性,他
馬嶋 昭生
1
1名古屋市立大学
pp.1171-1201
発行日 1985年10月15日
Published Date 1985/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209546
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演者:植村 恭夫
昭和60年5月18日,第89回日眼総会最終日に,慶応大学植村恭夫教授による特別講演「網膜・硝子体の発育期における特殊性」が東大三島済一教授の座長のもとに行われた.日本における小児眼科の育ての親であり,現在もこの方面の第一人者として国際的にも活躍しておられる教授の講演とあって,定刻の9時前にあの広い国立京都国際会館のメインホールも熱心な聴衆で埋められていた.
講演は,網膜・硝子体異常は数多く,重篤な視覚障害をおよぼす疾患があり,網膜・硝子体疾患の原因の解明は現代眼科学の重要な課題である,と一見難解と思われるこの演題を選ばれた目的の解説から始まった.そして代表的な疾患として第一次硝子体過形成遺残(PHPV)をとりあげ,その臨床的,病理学的研究と硝子体の発生に関する研究結果を述べられた.PHPVは,我々の日常の臨床においても,手術的治療の対象になるものから強度の小眼球を呈するものまで種々の程度があり,その発生過程にも未解決の問題が残されている上に,講演でも指摘されたように現代の進歩した検査法を行っても網膜芽細胞腫との鑑別が完全にはできない例もある重要な疾患である.
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