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特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その5)
学術展示
鞍鼻を伴う眼窩偽腫瘍について
Orbital pseudotumor associated with saddlenose
松屋 直樹
1
,
秋山 和人
1
,
高久 功
1
Naoki Matsuya
1
,
Kazuto Akiyama
1
,
Isao Takaku
1
1長崎大学医学部眼科学教室
pp.654-655
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209195
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- Abstract 文献概要
緒言眼窩偽腫瘍は,日常臨床においてしばしば経験されるが,鞍鼻を伴うものは極めて稀である。著者の1人高久は,かつて東北大において畠山らによって報告された眼窩偽腫瘍1)に著明な進行性の鞍鼻を伴い,かつWegener's granulomatosis (以後W.G.)は否定された症例を経験し,その本態について興味をもっていたが,たまたま最近我々は鞍鼻を伴う眼窩偽腫瘍2例を経験し,1例はW.G.,他の1例はmidline granuloma (以後M.G.)の診断を得たので報告する。
症例1は59歳女性,1983年2月14日初診。1982年3月,左眼の充血.眼痛のため某眼科受診。角膜炎として治療をうけていたが,12月15日頃より左眼の眼球突出と頭痛が発来し,当科を紹介された。既往歴では4歳頃より慢性副鼻腔炎,鞍鼻,萎縮性鼻炎,58歳より四肢の関節炎があり加療をうけている。初診時所見:視力右1.0(n.c.)左0.1p (n.c.)眼圧右20,左25mmHg,眼球突出度(Hertel)右15,左23mm。眼球運動右良好,左外上転障害。左角膜12時部に角膜片雲(+)。中間透光体,眼底著変なし。顔面は著明な鞍鼻と左眼球突出を量し(図1),臭鼻症のため独特の異臭がある。1983年2月21日入院。視力右1.2p (n.c.)左0.3p (n.c.)眼圧左右10mmHg,眼球突出.眼球運動に変化ないが,眼底には少数の点状出血と軟性白斑を認めた。
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