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連載 眼科図譜・315
大腿筋膜移植で治癒した翼状片術後強膜軟化症の晩発例
A case of scleromalacia with very late onset after ptcrygium excision successively treated by fascia lata autograft
臼杵 祥江
1
,
中野 秀樹
1
Yoshie Usuki
1
,
Hideki Nakano
1
1筑波大学臨床医学系
pp.112-113
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209082
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- Abstract 文献概要
翼状片術後に,まれではあるが遅発性の重篤な強膜合併症を見ることがある。再発防止の目的で用いられたマイトマイシンC点眼4)やβ線照射2)による局所の血管の障害が原因と考えられている。著者らは今回,翼状片術後18年経過した片眼に生じた強膜軟化症の1例を経験した。後療法の有無については不明であるが,強膜合併症の所見に酷似しており,この様な晩発例もあることに注意を喚起したい。なお病巣の中央部が穿孔しており,緊急手術の適応と考えられた。組織の修復補填には自己の大腿筋膜1)が用いられた。大腿筋膜は,強膜と類似した組織成分を有し(17.5%のコラーゲンを含有する3)),しなやかで適度の強度をもっているので,曲面を被覆するのに好都合であり,また眼内圧に十分耐えることができる。その上自己の組織であるので,同化性が強い。今回の症例では,術後に外眼部螢光撮影を行い,移植片の癒着と同化が予想以上に良好であることが観察された。術後の経過から,大腿筋膜はこの種の強膜軟化症に用いる被覆材料として優れていると思われるので併せて報告したい。
症例:42歳男性。
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