Japanese
English
総説
Steroid白内障の成因に関する生化学的研究
Biochemical studies on the pathogenesis of steroid cataracts
小野 繁
1
Shigeru Ono
1
1岩手医科大学医学部生化学教室
1Department of Biochemistry, Iwate Medical University School of Medicine
pp.9-16
発行日 1978年1月15日
Published Date 1978/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207556
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緒 言
Steroid白内障は,steroidの長期経口投与時に水晶体の後嚢下部に限局して初発する混濁であり,steroidの副作用の代表的なものの一つとして知られている。本症の発現に重要な役割をはたしているとみなされるsteroidの不活化機構としてのsteroid結合蛋白(われわれはcortisol-bind-ing-crystallin, C-B-Cと呼称した1,2)。)の特性ならびにglucuronideとsulphate抱合の役割については,さきに本誌において総説した3)。
われわれが注目した点はsteroid白内障の発現に重要視される結合蛋白の存在ならびに抱合の二つの局所的要素は下垂体ならびに副腎摘出,肝機能障害などの全身的な種々の因子によつて支配されることであつた4)。すなわち,水晶体代謝に対する下垂体−副腎−肝臓系の影響が大でありsteroid白内障の成因を考慮する際にこの系の異常は特に重要視すべきであり,本症は決してMorbus sui generisでないことを指摘したのである。本総説においてその後の一連の研究によつて得られた二,三の興味ある成績について紹介してみたい。
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