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緒言
血液中に蛋白分解酵素として,特に血液凝固と密接な関係を有するものにThrombinとFibri—nolysin或はPlasminと呼ばれるものがある。18世紀の終りから19世紀の始めにかけてDastre,Noff,Morawitz氏等により,血液を無菌的に凝固させた時に得られた線維素塊が細菌の汚染なし面への応用の試みと共に,線維素溶解酵素系に於ける異常が,生体の種々の病的状態と深い関係を有することが漸次明らかにされて来た。即ち,白血病,再生不良性貧血等の出血傾向に於けるPlas—minの役割,更に動脈硬化進展の要因としてのPlasminの役割,アレルギー,アナフィラキシーの発現機序に対するPlasminの役割等についても次々と研究が進められ,これによつて線維素溶解酵素系のもつ意義は,当初想像されていたものより遙かに大であることが明らかにされるに至つた。
慶大医学部に於ては,はやくから生理学教室岡本氏等を中心とし,基礎,臨床各科に亘りPlas—min研究班(班長植村操教授)を組織し,活溌な研究を行つている。著者等もその一環として眼科に再び流動性となり,これにThrombin或はCaを加えても決して凝固しないという現象が起ることが報告され,この現象を線維素溶解現象(Fibri—nolysis)と呼ばれた。
The plasmin activity was estimated by various methods in 33 cases of eye diseases. The cases consist of 8 fundus hemorrhages especially Eales disease, 9 uveitis, 5 diseases of the optic nerve and the retina, 7 glaucoma and 4 other eye diseases.
1) Fundus hemorrhages especially recurrent vitreous and retinal hemorrhages were ob-served with increasing of plasmin activity. In some cases, steroid hormone inhibited the bleeding and decreased the plasmin activity. Plasmin activity increased in the recurrent hemorrhages and decreased in the interval between the attack.
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