--------------------
皮膚疾患に対する抗線維素溶解酵素剤の効果
山本 勤也
1
1徳島大学医学部皮膚科教室
pp.521-524
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201460
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
皮膚の刺戟によつてヒスタミンが遊離ないし産生されること,従つて炎症性皮膚疾患にヒスタミンが異常に増加する事は既に多数の報告に見られる。この意味に於いて抗ヒスタミン剤の治療効果が期待され,又現に幾多の報告となり,むしろ濫用の弊も見られるから,その前段階に於いてヒスタミンの遊離,産出を阻止する事が出来れば更にその効果を早めるであろう事は当然考えられる事である。近年,このヒスタミン等の蛋白分解産物が血液中にある特殊の蛋白分解酵素Plasminの活性化による事が知られたことは生物学的,病理学的に興味があるのみでなく,臨床家にとつても重大な関心事でなければならない。
一旦凝固した血液が或る条件の下で再び無菌的に溶解する現象(線維素溶解現象)は古くよりGreen (1887),Dastre (1894)等により観察されたがその本態は不明であつた。近年Rosemann,McFarlane等により本現象は血漿中の特殊蛋白分解酵素が血液の線維素を溶解するためであることが明らかにされ,McFarlane,Loomis等はその後この酵素を単独遊離して,Plasmin,又はFi—brinolysinと命名した。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.