銀海余滴
コーチゾン類の全身投与
桐沢 長徳
pp.480
発行日 1960年2月15日
Published Date 1960/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206881
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先日,眼科学会から健保のコーチゾン類の全身投与を認めてほしいという申入れを厚生省に行つたが,これは誠に当然過ぎるほど当然な要求であつて,どうして今までこれが認められなかつたか不思議なことである。しかも各科で全身投与が認められているのに眼科だけが認められていないとは誠に以ておかしなことで,この原因が厚生省の怠慢にあるのか,或いは眼科全体の政治力(?)不足によるのか,充分に考えてみるべき問題である。
実は,健保にコーチゾン類の適用が認められたのは眼科が各科に先がけて最初だつたのであるが,それが今日この状態とは情ないことである。その頃の「いきさつ」を思い出せば,多分昭和28—9年の頃だつたと記憶しているが,当時,コーチゾン類の眼疾患に対する卓効が外国の雑誌に盛んに喧伝され,日本でも倉知教授や我々が最初に試用してその効果に驚ろいたものである。そこで早速在京の日眼や眼科医会の数人と厚生省の2〜3人の人々とが会合して,眼科に於ける使用について話し合つたものである。その時,我々としてはコーチゾン類の局所応用と全身応用について要望し,厚生省の人々もそれを納得してくれた。但しその時はまだどの科でもコーチゾン類の健保適用が認められていなかつたので,「眼科だけにその汎用を認めるのも差障りがあるから,とりあえず眼科の特殊性という点でまず点眼と結膜下注射だけで我慢してほしい。
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