特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
眼疾患のコーチゾン療法
今泉 龜撤
1
1岩手醫科大學
pp.959-967
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201331
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Ⅰ.緒言
コーチゾンの眼疾患に對する應用は,Alan C.Woodsの報告を契機として,1950年來主として歐米に於て經驗され,A.C.Woodsを始めL.H.Leopold,F.H.Steffensen,Sir S.Duke-Elder 等により,既に2000例以上の症例の報告をみ,種々なる考按が試られている。本邦に於ても1951年池田氏の解説以來,生井,倉知・久保田,水川・鈴江等諸氏の豊富なる臨床經驗が誌上に見られ,本劑のdramatic abilityは,之を利用するものの齊しく讃亂を惜しまない所で,今や眼科醫にとつて藥籠必須のものとなつている。
抑々コーチゾンの藥效に就ては,その作用がホルモン性のものか,將た又藥理作用的なものか未だ決定をみない段階にあり,その卓越した效果のよつて來る所以も,尚未定の域にある。しかし乍ら現下盛んに行はれている實驗的研究によつて,その本態の究明されるのも遠い將來ではないと思う。而してWoodsの論する如く,その主なる作用が炎症性及び滲出性状態のblocking actionであるならば,本劑は決して原因に對する治療法ではない。從つてこれを眼疾患に應用する場合,その根治或は再發防止には,各原因に對する特殊療法を夫々併用すべきである。
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