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Ⅴ.角膜の検査
前回述べた様に,広光東法では表面の変化がよく判り,狭光東法では光断面Optic Sectionがよく判るので深さ,厚みの変化が判定し易く,特に角膜と水晶体の検査では,これを常に使い分ける必要がある。しかも,いつでも直接に照明した細隙光の当つた辺縁を見るのが大切で,間接法で周囲の状況を判定するのは特に角膜や水晶体の様な広い平滑面の検査には重要であり,前述の様に,小隆起物の全景等は絶えず振動法で観察して行く。
正常角膜を狭光束の光断面検査を行つて見ると,光断面の中には前面に二重,後面に一重の反射線が見える。特に最前方の反射面は白色に強いが上皮層上の液体面反射であつて,厳密には上皮細胞の表面に密着している涙液や脂性分泌物,塵等よりなる液体層よりの反射と考えられる。前面ではその後方にもう一つの反射線があつて,ボーマン膜と上皮層の間のリンパ液よりの反射と考えられ,ボーマン膜表面の反射とも云えるので,上皮層内はむしろ暗くなつていて,この上皮層(重層扁平上皮)の前面と後面が光つているわけで,この二重反射線はほぼ上皮層の厚みを物語ると考えてよいと思う。後面の反射線は梢弱いが,これは一重でデスメ膜と実質層との間の液体層よりの反射で,更に内皮細胞と前房水との境面からも反射が出ているがボーマン膜が薄いのであまり反射面は明かに区別し難い。
Practical procedure of slitlamp biomicroscopy on the cornea, lens etc. was described. Normal and pathological ocular biomicroscopic signs related with some differential diagnosis of the corneal anormaly and cataractous change, were presented. Especially, the develop-mental relation between the senile cataracts as cupuliform and nuclear type of incipient cataract, and some congenital cataracts was explained, adding some color plates of biomi-croscopic findings.
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