談話室
海外留学生座談会記事—留学について
中島 章
1
,
小川 一郎
2
,
坂上 英
3
1順天堂眼科
2新潟大学眼科
3京大眼科
pp.1630-1636
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206513
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まえがき
アメリカに留学していた小川一郎氏(新潟大眼科)と私が,ボン大学の坂上英氏(京大眼科)の所に集ったのは2月初めであつた。萩原教授等がお泊りになつたと云うボン大学眼科教室の来客用の部屋で,毎晩夜中迄話し合つたのを坂上氏が几帳面にまとめて下さつたのが以下の記録である。3人が集る事は前以てわかつていたし,眼科関係の留学生が,しかも皆違う国々に留学していた若い連中が集る事は仲々得難い機会だから,是非座談会をやつて記事にしたら面白かろうと思つていたが,果して面白いものが出来たかどうかは,お読みになつて判断して戴く他はない。
外国に居ると日本人がこんなに海外に出ているのかと驚く程ワンサと出掛けて来る。それ丈世界が狭くなつているのであろうし,地理的に孤立しやすい日本の不利な点を補つている点は大変喜ばしい現象だが,これが日本の後進性のあらわれ,特に株を上げる目的で洋行等と云うのが多いとしたらなげかわしい。逆に,日本の良い業績を世界に紹介してまわると云う洋行がもつともっと多くなつて欲しいものである。私は,仕事が面白く発展しつゝあると云う様な人がその仕事を中断して迄外遊する等と云うのは愚の骨頂だと思つている。そんなにまでして行つても,外国には青い鳥は居ない。レベルは大して変らない。
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