臨床実験
硝子体下出血に就いて
永沢 貞子
1
,
関 和惠
1
S. Nagasawa
1
,
K. Seki
1
1東京医科大学眼科教室
1Dept. of Ophth. Tokyo Medical College
pp.799-800
発行日 1956年5月15日
Published Date 1956/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205715
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- 文献概要
此処に述べる私共の症例は,果して硝子体下出血と言つてよいのか,又単なる網膜前出血に過ぎないのか,確実な診断は下し難い。併し硝子体下出血と言う言葉は余り用いられていないので,此処に申し述べて御教示を得たいと思う。
綱膜前出血とは,解剖的に何処に出血したものであるかと言うと,此れには二通りあつて,一つは網膜内境界膜と神経繊維層との間の出血で,網膜浅層の出血であり他の一つは網膜内境界膜と所謂硝子体膜との間の出血である。この二つの中では前者が遙かに多いのである。菅沼先生に依れば「河本軍次郞氏は網膜内境界膜と神経繊維層との間に出血巣を発見し,外国の文献の最も多くも又この河本氏の記載に一致し,唯Harmsの例に於てのみ網膜内境界膜と硝子体外層との間に出血を認めたと謂う」と記述されている。
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