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緒言
糖尿病性網膜症に対する光凝固は,1959年のMeyer-Schwickerath1)の悲観的な報告をはじめとして,その後数多く報告されるに至り,その効果は網膜症の早期に光凝固を行なえば,網膜症の進行を遅らせることができるとするのが大勢の結論となつた2)。しかしこれらの報告のほとんどすべては病的網膜や新生血管などの網膜症病変を直接に凝固してえられた成績であるので,凝固しえない部位の病変,たとえば乳頭上からの血管新生などはいかんともしがたく,光凝固の限界はここにある3)〜6)とされてきた。また一方光凝固の治療効果も網膜病変が凝固破壊されたことによつてえられたものなのか,あるいは病変の破壊というよりはむしろ広範囲の網脈絡膜が凝固されたことに関係があるのか7)といわれており,いまだその奏効機序に関しても結論がえられるに至つていない。
本報においては上下耳側血管のArcade内のみを除いて広い範囲の網膜を凝固し,この凝固がArcade内の凝固を行なつていない後極部病変におよぼす効果を報告するのであるが,先に述べた理由からこれは従来の光凝固の限界への挑戦であり,また光凝固の奏効機序を考察する上でも有用であろう。
Results of treating diabetic retinopathy with sparsely placed light coagulation are reported.
In this series 100 to 600 burns were sparsely made over all the fundus except on the macular side of the superior and inferior vessel arcade. Fifteen cases of proliferative diabetic retino-pathy (PDR) anp 16 cases of simple diabetic retinopathy (SDR) were treated with this te-chnique.
In 78% of these progressive cases the retino-pathy has been arrested for 2 to 3.5 years af-ter the treatment.
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