座談会
全身疾患と眼—その全体像把握のためにその1脳・神経疾患と眼(1)
豊倉 康夫
1
,
井街 譲
2
,
石川 哲
3
,
中村 紀夫
4
,
三島 済一
5
1東大神経内科
2兵庫医大眼科
3北里大眼科
4慈恵医大脳外科
5東大眼科
pp.984-996
発行日 1973年8月15日
Published Date 1973/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205001
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座談会「全身疾患と眼」シリーズをはじめるにあたつて
眼はその光学器機としての構造を満足させるためにはなはだ複雑な構造を持つています。眼には上皮組織あり結合組織があり,また分泌細胞があります。このように多様な組織から構成されている眼は,いろいろな全身疾患の一分症としておかされることが多く,ほとんどあらゆる種類の全身的系統疾患と関連しているといつてもいいすぎではないと思います。このようにデリケートな眼の組織がおかされる場合には,非常に早期に症状が発現し,またわれわれの持つ検査法の発展とともにこれら系統疾患において早期に眼に症状が現われ,これが早期診断の鍵をにぎることもしばしばみられます。また,眼は生きた組織を直接みることができる唯一の器官であり,特に血管系においては最近の螢光眼底造影法の導入とあいまつて,その循環動態まで詳しく検査することが可能となりました。したがつて種々の疾患の診断のみならず,その状態把握ひいては経過の追跡に占める眼症状の役割も次第に大きくなつてきたと言わざるを得ません。したがつて,われわれ眼科医が眼の疾患を眼だけの立場から観察するということは,もはや許されない時代になつたと言つても過言ではないと思います。すなわちわれわれは日常診療において,眼と関連した全身疾患についても詳しい知識を持つ必要にせまられてまいりました。
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