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緒言
農薬による慢性中毒の実態は,臨床的にも実験的にも,いまだ解明されていない。遅ればせながらも,1967年以降,強毒性あるいは強残留性の農薬の大半は行政的措置によつてその使用が禁止されたが,しかし,過去20数年にわたつてばく大な量の農薬が,この狭い国土にばらまかれてきたわが国では,農業従事者のみならず,残留毒によつて環境汚染された全国民が,農薬によるなんらかの影響を受けているといつても決して過言ではない。
各種の農薬が,微量毒性物質として長期間体内に残留して蓄積される場合,いかなる影響が生体に出現するかを明らかにすることは,今回,早急に解決を求められている問題である。しかし,この場合,従来より行なわれてきたような,比較的大量の毒物が生体内に蓄積されることによつて生じる不可逆的な組織学的変化を検索する方法では,現時点で問題となつているごく微量の農薬が体内に蓄積したさいに起こる影響を追求する目的に対しては,必ずしも妥当とはいえない。したがつて,著者は,組織学的変化に先立つ各種の代謝異常を,生化学的に追求せんと試みた。
An experimental study was performed on chronic toxic effects of agricultural chemicals to ocular tissues and central nerve system through metabolism of fatty acid.
Adult male albino rabbits were applied for the experiment and were divided into three groups. Each group was carefully observed by feeding small amount of agricultural chemicals ……organic mercurial (EMP), organic phosphate (MEP) and organic chloride (BHC)……orally for six successive months. Gas chromatographic analysis of fatty acid in ocular tissues, brains and serum was performed. Results were as follows :
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