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緒言
放射線療法の発達にともない,今日では多くの領域で放射線療法が悪性腫瘍の治療に用いられ,その効果とともに,反面放射線による合併症もみられている。就中,眼科領域でも,前眼部,水晶体に対する放射線障害については,以前から多数の報告があり,周知の事実であるが,放射線が網膜に及ぼす障害,すなわち,放射線網膜症については,Moore (1935)10)が最初に報告して以来,数氏の報告があるが,あまり注意されていない。
近年眼組織の悪性腫瘍に関する治療として,60Coが多く使用されるようになり,その報告例も次第に増加し,Bedford,Bedotto,Macfaul(1970)1)らは,眼内新生物に対する放射線治療後は,放射線網膜症の発生に注意する必要があることを強調している。また,眼組織以外の悪性腫瘍でも,その放射線治療のさい,放射線が眼組織に影響することがあり,このような場合にも,放射線網膜症の発生に注意する必要があるが,いまだあまり注目されていないように思われる。事実,今日までに,眼組織以外の部位の悪性腫瘍の放射線療法後に本症を起こした症例の報告2)3)6)8)9)10)12)13)が発見されるにすぎない。しかもこれらの報告では本症発生の注意についてはあまり強調されていない。またこれらの報告例をみると,使用放射線はX線,または60Coによるものが主で,ライナックによるものは田中らの14)報告をみるにすぎない。
Thirty-three cases with carcinoma of maxil-lar sinus treated by radiation therapy were exa-mined with ophthalmoscopy and fluorescein an-giography. The results obtained were as fol-lows :
1) Radiation retinopathy was found in four cases (12%). These cases were all female and had allbeen treaetd by linac. Radiation retino-pathy may be more frequently seen in patients treated by linac than in patients treated by roent-gen or 60Co.
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