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緒言
著者は,従来はドイツ製のカメラを使つていたのであるが,数年前より日本製の1眼レフを用いはじめた。ところがピントが合つているわけなのにピントが甘いことをしばしば経験し,ことにこれは外国旅行先などの怱忙の間の撮影に多かつた。どうしたわけかと長く考えていたのであるが,偶然にこのカメラで視力表を見て0.6位しか見えないのに気づき,驚いてライカフレックスSLで見ると,1.2まで見えることを知つた。その理由をカメラ会社の方にたずね,日本製のカメラには,多くはファインダーに−1D位のレンズが挿入されていることを知つたので,同じカメラで+1.0Dを入れて視度を調整したところ,カメラを通しての視力は1.2となつた。長くカメラを用いておりながらかかることを全く知らなかつたわけで,誠に恥ずしい次第である。日本カメラ界の大がかりの実験的根拠があることを知つたが,私はこの視度の大いさに疑問をもつたので,自身の手でこの問題に取り組んでみた。
In order to determine the adequate minus lens power installed in the finder of the Japanese monocular reflex camera, the author conducted following experiments.
The author added various power of lenses at the portion of a Japanese monocular reflex ca-mera : Nikomat, measured the visual acuity and refractive degree of the 10 eyes of 9 girls look-ing at Ishihara's visual test chart through this finder and took the photograph of the test chart after adjusted the focus of the camera by the subject to the smallest distinguishable test figure.
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