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緒言
Heterochromic cyclitisは,虹彩異色,特有な慢性虹彩毛様体炎,白内障をTriasとする疾患で,古くから知られていたが,Fuchs1)が1906年にこの症状を詳細に記載して以来,Fuchs症候群と呼ばれるようになつた。ヨーロッパでは,今までに多くの報告がみられる2)〜7)。アメリカでもその症例が少なくないことはKimura8)らが,日本でもまれな疾患でないことは内田ら9)がのべている。
その虹彩毛様体炎は特徴的で,まず一般の炎症性変化であるところの毛様充血がみられない。無痛性で,非常に慢性に経過する。虹彩異色,白内障は,これから二次的に起こつてくるものと思われるが,炎症の自覚症がないため,視力がなくなつてはじめて気づくのが普通である。角膜後面沈降物,前房の浮遊物,虹彩の萎縮も特有であり,虹彩癒着はまつたく生じないとされている。原因は不明であるが,一般の炎症(局所の感染,アレルギー等)よりも,むしろ,循環の異常10),血管自体の異常11)あるいは発生時の異常によつて生ずるstatusdysraphicus12)が考えられたりしている。自律神経系の異常に成因を置くものも13)ある。また,遺伝因子の存在を考え得る例14)もある。
LDH (lactic dehydrogenase) isozyme patterns were determined in the cataractouse lens and the serum in a case with Fuchs' syndrome (he-terochromic cyclitis) The findings were compa-red with those in patients with senile cataract or complicated cataract due to iridocyclitis of unspecified nature.
An enhanced activity was noted in LDH iso-zyme III in the cataractous lens from Fuchs' syndrome and in those with iridocyclitis. On the other hand, the lenses with senile cataract showed an evenly high activity in isozyme III, IV, and V.
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