銀海余滴
Velhagenのこと等
鹿野 信一
1
1東大
pp.225
発行日 1966年2月15日
Published Date 1966/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203360
- 有料閲覧
- 文献概要
ちよつと話はふるくなるが,臨床眼科学会の時,東独のVelhagen教授が,特別に来られ,仙台で口演をされた。Velhagenの名は非常に部厚い"Augenarzt"というText bookの編集者という意味で知つていたが,初め東大に寄られ1日をつぶして視察をしていつた。なかなか元気のよい爺様で,外来患者の原田氏病やBehçget氏病,中心性網膜炎をみては,いちいち議論Dis—cussionをしようという。どうもこちらは遠来の客なので,あちらに少ない病気をみせてやろうと考え(事実Behçet氏病は独立には全くというてよい程ないそうである),患者さんにもその旨を了解してもらい無理しているのに,短い時間でも,Discussionをしようとするその気組には何か独乙的の学問の仕方というものが感じられて面白かつた。その前に来られた熊本の時の招待口演のCogan教授(米国)の時はBehget氏病は米国には少ない。私は20年間に3人みたのみである。おかげで私は20年間以上の勉強をさせてもらつたといつて,私達の考えている現在の状態を理解しようと努めていつたのと極立つた対比を示していた。Deutschland überallesの気慨なのかも知れない。
このVelhagen教授について今つ,教授が愈々日本を去るとき,サヨナラパーティを椿山荘に開いた。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.