巻頭言
「家族等」の先へ
八木 深
1
1独立行政法人国立病院機構花巻病院
pp.474-475
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102731
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精神保健福祉法が2013年に改正され,医療保護入院に関し,保護者の同意から「家族等」の同意へと変更され,2014年4月から実施された。この改正の先に何があるかを明確にしたい。
今回の改正議論は,閣議決定「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」が,精神障害者の強制入院について保護者制度の在り方を含めて検討を求めたことに始まる3)。厚生労働大臣設置の「新たな地域精神保健医療の構築に向けた検討チーム」は,保護者制度を振り返り検討した。保護者は,当初,精神障害者の自傷他害を防ぐ監督義務を負わされたが,保護者といえども,精神障害者を保護拘束することは禁じられており,保護者がこの監督義務を負うには,精神障害者に医療を受けさせることしか考えられず,1999年の精神保健福祉法改正で,この監督義務は廃止され,保護者は精神障害者に治療を受けさせなければならないと改正された2)。検討チームは,家族の高齢化などに伴い負担が大きくなっているなどの理由から,保護者に関する規定は削除すべきと結論した。
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