日本トラホーム予防協会会誌
学校保健に於けるトラコーマ集団治療の可否について
三田 弘
Hiroshi Mita
pp.1-4
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202620
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学校の児童生徒を対称としたトラコーマ集団治療は殆んど全国的に試みられて,年々その実施校の数が拡大されつつある。福島県中村第一小学校外5校の広汎な協同研究発表(1960年10月第10回全国学校保健大会,学校病の予防65頁)には「養護教諭のいる学校でトラホームの学校洗眼をやつていない学校はあるまい。夏休みも一日も休まずにやつている養護教諭もあるときく,根気の要る割りに成績の上がらない仕事である」と述べられている。この学校集団治療の始まりはかなり古いもので石郷岡正男氏の「本県特に弘前地方に於ける学童のトラコーマについて」(第11回全国学校保健大会特集学校医33頁)によれば「大正5年トラホーム予防協会が生まれ,大正6年には弘前で初めて校内治療及び手術を実施するようになった」どあるから,弘前市では既に45年前からのことである。当時トラコーマの治療と云えば手術療法の外には硝酸銀か硫酸銅があつただけで,その薬治効果の点から見ても今日学校内で養護教諭や一般教員が行つている様な事は出来なかつた。私も曾つて昭和9年頃眼科医は居らず,バス交通も無い僻村の学校へ出張して,トラコーマの集団手術を行い,その後処置である薬物治療を内科の学校医に依頼した経験がある。石郷岡氏の述べておられる弘前市の場合は「これが即ち弘前市立トラコーマ治療所の設置である。
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