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ここに報告する症例は井口潔,八木博司,中村元臣及び鳥井紳一郎の4氏によつて雑誌「呼吸と循環」第9巻第6号(昭和36年6月)に「狭心症状を呈した脈無し病の1例」として報告されたものである。患者は32才の既婚の婦人で,発作性に来る前胸部の絞扼感を主訴として最初九大医学部心臓血管研究所に入院した。右側の橈骨動脈の脈は微弱ながら触れるが,左側の橈骨動脈,上腕動脈及び総頸動脈では拍動を触れず,脈無し病の疑が置かれたのである。然し頸動脈洞反射の亢進は認めず,昭和34年4月8日(死亡の162日前)著者等の1人荒木が診察した所では,両眼とも網膜静脈の軽度の怒張を認めたのみで,血管瘤も動静脈の吻合も認められなかつた。
内科的療法で狭心症様の発作が緩解しないので,第2外科に転棟し,井口等によつて動脈撮影が行われた。結局,左側及び右側,特に左の上腕動脈に血栓性閉塞があり,又左側の総頸動脈も完全に閉塞し,脳への血行路は椎骨動脈を経て代行されていることが判つた。それで昭和34年8月27日,人工血管を上行大動脈と左内頸動脈及び左上腕動脈との間にBypass移植したが,術後出血のため5時間後に死亡した。
Both eyeballs, with their whole length of the optic nerves, of a case of pulseless disease were examined histologically. Only in the peripheral part of the temporal retina there were observable five aneurysms which showed various histological findings. The right ophthalmic artery showed an aneurysmal dilatation in its course in the optic canal.
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