特集 眼科臨床の進歩Ⅲ
脳疾患
Marcus Gunn現象
佐野 圭司
1
,
竹内 一夫
1
1東京大学脳神経外科
pp.614-623
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202195
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1883年6月1日にFlorence J.——なる15歳の少女が下記の様な症欣を主訴としてThe North-West London Hospitalを訪れた。彼女を診察した眼科医Robert Marcus Gunn (1850〜1909)はその症状に非常な興味を感じて同じ年の7月6日の The Ophthalmological Society of theUnited Kingdomの集会で症例報告を行つた7)。彼女は出生時から左眼瞼下垂があり,下顎を右方あるいは前方に動かすと,ただちに下垂せる不全麻痺状態の左上瞼が挙上し,下顎がその位置にとどまつている間は挙上位を保持した。この現象は多大の関心をよせられ,同学会はW.R. Gowersを長とする4人の委員会(神経医3人,眼科医1人)を作つてこの症例の調査を命じた。その結論として下垂瞼の上瞼挙筋は同側の外翼状筋が收縮すると收縮する(しかしその逆はおこらない),すなわち外翼状筋と上瞼挙筋の連合運動(ptery-goid-Ievator synkinesis-Wartenberg24))であるということになつた。
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