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綜説
化学療法の再検討—東京眼科講習会講演内容(昭29.6.13)
Reexamination of Chemotherapy Concerning to Eye Disorders
桐沢 長德
1
1東大眼科,東大分院眼科医院
pp.1069-1076
発行日 1954年11月15日
Published Date 1954/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202019
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Ⅰ.トラコーマ治療の再検討
トラコーマの化学療法はオーレオマイシン(AM),テラマイシン(TM)の発見によつて画紀的進歩をとげ,今やトラコーマは都会に於ては殆ど問題にならなくなつたように見受けられ,従てトラコーマの治療法に関してはもはや議論の要がなくなつたようにも思われる。しかし,最近のトラコーマに関する文献をみても,これらの藥剤の使用法についてすべてが一致したという像どではなく,むしろ理論的にこれを検討したものは比較的少く,たど各自の成績を経験的に述べるに止まつているものが多い。
われわれもかつてAMのトラコーマに対する効果を最初に報告し(昭和25年6月),その後集団治療に於ける各種抗生物質の効果比較(AM,TM,CM,Salfa剤)を三井氏等と同時に昭和25年秋の関東眼科集談会で発表した。その後もなお多数の患者について用いているが,その当時の結論は現在でも大体変える必要はないように思つている。しかし,その後多数諸氏の論文を見ると,われわれの成績と殆ど一致するものもある一方,わらわれの考と異るものもあるので,これらの諸論文を綜覧してその相違のよつて来る所を検討し,トラコーマの化学療法に一応の結論をつけてみたいと思う。
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