Japanese
English
臨床実験
無謀なる切腱術症例
Several mistaken Cases of Tenotomy
廣石 恂
1
1九大眼科
pp.780-783
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201927
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
切腱術(鞏膜固定をしない単純切腱術)は斜視手術中,術式が簡単な良法であるとされ,従来最も屡々行われているのである。然し乍ら私は此の切腱術程無謀で危険な術式は無いと思う。その事実は後に述べる症例が率直に物語つている。此の術式がDiffenbach,.Graefe等に始まつて数十年来,手術教科書斜視篇の第1頁に掲げられ,広く行われ乍ら,何故之に対する検討が殆ど加えられなかつたのであろうか。偶然にも等しい手加減によつて斜視が矯正出来ると得々としていた事は寧ろナンセンスである。然し此の術式の適応を厳密に検討し,侵襲を加うべき筋と侵襲量を術前に決定する為に我々に与えられていた手段は余りにも貧弱であつたのである。
私は最近この全く無謀なる切腱術の結果招来した数例の不幸な患者を経驗し,私の考案したEle-ctro-oculogram (眼球電位図E.O.G.)を用いて其の病変の状態を解明し得たので,之等に就て簡単に記し,并せて切腱術の適応乃至手術的価値に対し聊か私見を述べたいと思う。(日眼57巻,2号及び7号参照)。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.